2012/12/5総務委員会傍聴記

125日、平成24年度第4回江戸川区定例会日程4日目の総務委員会、議案審査に行って参りました。議案はひと通りここで解説付きで読めるので、大体頭に入っていました。だから、前回までのような「資料がない!区議会め!」のような怒りは少なかったです。

 

 傍聴席には私の他に男性が2名女性が1名。朝の10時に始まり1140分くらいには終了しました。議案数は第84号~第106号、計22議案。その中でも、地域主権一括法の関連のものも多く、既存の省令を横引き参酌したものが多数ありましたので、議論が加熱する点は少なかったように思います。

 

 繰り返しリンクを張りますが、この傍聴記を読むにあたって、ぜひ 今回上程された議案とその説明を参照してください。


オリンピック誘致の助成について

 まずは補正予算の歳入予算の計上の点。宝くじの歳入(1000万円)からオリンピック誘致関連の助成を行うとのことで、オリンピック誘致に関する質問がありました。区民のオリンピック支持率は67%で、以前より上がりつつあるそうです。オリンピック誘致に積極的だった石原慎太郎前都知事が代わることによってどうなるかわかりませんが、8月に行われた花火大会でオリンピック誘致の広告が紙媒体で配られたそうです。オリンピック候補地は現在東京、トルコのイスタンブール、スペインのマドリードですが、支持率の低さは誘致失敗につながるので、オリンピックを推進したい東京都(の一部の議員や人たちかもしれませんが)は都民に向けて、その意義をPRしなければなりません。ちなみにこちらのページでは、東京は、東日本大震災後の原発停止でオリンピック開催時の電力供給に不安が示され、国民の支持をさらに増やすことも課題になっており、イスタンブールは、政府と国民の高い支持が評価を受けていて、マドリードは、競技施設や過去のスポーツ大会開催の実績が評価されたそうです。区議の「オリンピック助成の根拠は?」との質問に対しては、区職員の答弁は「都民の福祉の増進」とのことでした。

 

新公会計制度について

傍聴席受付
傍聴席受付

 歳出について、新公会計制度について質問がありました。

 

 まず新公会計制度について拙い説明をさせてもらいましょう。平成18年に東京都に導入された制度で「複式簿記」「発生主義」という企業並みの会計制度を行なっています。区の会計もこれに準じていくことになります。単式簿記とは、単純に項目を書いて、支出か収入のどちらかの欄に金額を記載するものです。多くの家計簿がこれですよね。それとはちがって複式簿記とは、取引ごとに仕訳を行い、どのような取引が行われたのか2つ以上の振り分けをするのです。このページがわかりやすいです。このページの例を拝借すると、家庭の家計簿でも支出が現金(即払い)かクレジットカード決済(月末払い)かによって、今の財産状況が変わってきます。このように、取引の仕分けの項目を増やすことが「複式簿記」です。「発生主義会計」とは、現金の収入や支出に関係なく、収益や費用の取引が発生した時点で計上しなければならないとするもの。反対の概念は「現金主義会計」で収益と費用を現金の受け渡しの時点で認識するもの。ですからとにかく「財政状況が早く反映される」わけです。

 

 つまり、公会計を家庭の家計簿から、企業の財務諸表のようにしましょう、ということです。

 

 で、この新公会計制度の江戸川区への導入に関して4500万円歳出として計上されました。これはシステムの構築料と公認会計士へのコンサルタント料などが含まれるそうです。また先行してこの会計制度を導入している町田市では、サービスを受ける市民の負担が強まったとのことで、懸念もあります。

 

保育・児童福祉について

 児童福祉費について、議員により社会福祉施設等耐震化促進事業(児童福祉施設等耐震改修等経費)補助金交付要綱/PDF(東京都からの諸施設への耐震工事の助成)から、私立保育園の耐震化が何園行われたのかとの状況の説明を求められました。区職員の答えは区内の10園が未耐震化でそのうち4園は着手中とのことでした。

 

  第88号議案 江戸川区保育所条例の一部を改正する条例(南葛西保育園の廃止)について瀬端 勇議員より、区立保育園の民営化に反対が表明されました。しかし南葛西保育園に続いて西葛西保育園も民営化が予定されているようです。滝沢 やすこ議員より民営化の公表時期をもっと早くして欲しいとの要望がありました。民営化以降は、社会福祉法人えどがわ という団体が一手に保育園運営を引き受けるものであります。上田令子前区議のHP では、平成19年度、東小松川おひさま保育園を皮切りに20年度は3園、21年度は4園、22年度は2園、23年度は1園、24年度は初めての住棟下施設として2園推進をしてきた、と説明があります。また、問題点も指摘されていて、そもそも民営化の目的というのは、行政による随意契約を排除し、民間の責任での自由な事業運営を可能にし、結果として住民サービスの向上をさせることに主眼を置かれていたのに、民営化先が社会福祉法人えどがわの一箇所のみに限定される随意契約のような形をとっており、リスクと競争の要素がない随意契約では、保育の質向上のインセンティブ(動機)も起こりにくい、という旨の問題点が件のサイトに挙げられています。

 

 第89号議案 江戸川区保育所の保育の実施に関する条例の一部を改正する条例(保育料の算定基準の変化 / 詳しくはこちらを)の影響について、質問がありました。この議案は保育料算定基準におけるB地帯(保育料無料)に「住民税非課税世帯」とあわせて「所得税非課税世帯」が加わるというものです。算定基準が「住民税重視」から「所得税重視」に切り替わったことで、中には具体的に保育料が、最大で年額が0円だったのが4万円に増える世帯もあるとのこと。これはあくまで極端な例ですが、こういった保育料算定基準が変わったことで発生する保育料のギャップへの緩和策は区のほうではとらないそうです。気になる方は区役所の保育係に問い合わせてみてください。

 

 

その他..

江戸川区まちづくりの一環(平井の立体駐輪場)
江戸川区まちづくりの一環(平井の立体駐輪場)

 第91号議案 江戸川区街づくり宅地資金貸付条例を廃止する条例(江戸川区街づくり宅地資金貸付が廃止される)について、江戸川区街づくり宅地資金貸付はピーク時には希望者は166人いて、貸付額は153980(平成七年)だったそうです。

 

 第92号議案 江戸川区廃棄物の処理及び再利用に関する条例の一部を改正する条例(事業者向け廃棄物処理手数料があがる)に関して、実情は廃棄物処理手数料と廃棄物処理原価とのあいだに7円の乖離があり、それを段階的に4円、今期に値上げする、というものでした。ゴミの量自体やゴミの処理量自体は減っているのですが、乖離だけは生じているようです。

 

98号議案  江戸川区が管理する道路における移動等円滑化のために必要な道路の構造の基準に関する条例(公園のバリアフリー)に盛り込まれた点字ブロックの設置にについて、現状で色覚異常を持つ利用者にとって色がわかりにくい点字ブロックがあるという指摘に対して、順次工事の際に「黄色に直していく」と区職員の答弁がありました。

 

 以上が主な論点でした。今回の議会では、「オリンピック誘致のPR費」「新公会計制度の導入」「区立保育園の民営化」が最も大きなトピックだったと思います。これにて傍聴記を終わります。ご高覧ありがとうございました。